企業立地ナビ

函館地域に立地している事業所の皆様をご紹介しております


[お話いただきました]
営業部第一営業副部長
梅津 彰 様

自社の強み(特徴的な技術や製品)についてお聞かせください。

当社は、創業以来60年、一貫して甘草からグリチルリチンを製造しており、医薬用グリチルリチン酸モノアンモニウムにおいて、世界最大の出荷実績を誇るメーカーです。 甘草から精製されたグリチルリチンは医薬品用のほか、食品用、化粧品用として、幅広く利用されていますが、当社は医薬品用に特化し、肝炎・アレルギーの注射薬・錠剤の原料として、グリチルリチン酸モノアンモニウムを医薬品メーカーへ供給を続ける医薬品原料メーカーであるとともに、食品用、化粧品用グリチルリチンの販売も行う甘草の総合商社です。

また、医薬品原料製造で培ったノウハウを活かした、ジェネリック医薬品メーカーへのAPI(原薬)を販売する医薬品事業や、甘草由来原料販売で培った販路を活かし様々な化粧品原料を販売する化粧品事業も行っています。強固なトレーサビリティが求められる医薬品業界においてメーカーとして60年以上培ってきた品質管理・品質保証に対する高い意識とノウハウを活かし人々の健康に貢献できるよう日々努力を重ねております。

函館地域へのご進出の決め手を教えてください。

函館進出の決め手は、既に飽和状態にある植物由来原料に対し未利用で競合が少ない分野であった「海藻」の機能性成分に着目した際に、まず函館が昆布を始めとする海藻の国内最大の産地であったこと、加えて北海道大学を始めとする海藻に関する研究を行う研究機関が多数集積していたこと、さらに、函館市からの熱心な誘致、手厚いサポートを受けたことです。函館市には、進出前より多くの研究機関をご紹介頂くなど多くの相談にのって頂き、進出後も研究機関や生産者、地元企業を紹介して頂くなど幅広くサポートを頂いたことから進出から事業化まで非常にスムーズに進みました。現在も様座な事柄で相談にのって頂いております。

函館地域にもっと増えてほしい業種・業態の企業はございますか

函館市は国内最大の海藻産地であると同時に、海藻に関する世界的な研究地でもあります。この成果を活用し海藻産業を活性化すべく、当社は、海藻の有効活用・産業化を推進する「海藻活用研究会」に参加しております。研究会には研究機関のほか、生産者である漁業者から最終品を販売する企業まで海藻をビジネスとして考える企業さんに多く参加いただいております。将来函館地域が「海藻バレー」として海藻ビジネスの世界的な拠点となる事を構想しています。現状、研究分野での集積はありますが、それを活用する企業にもっと増えて欲しいと思い活動しています。 函館地域だけでなく北海道全般に言えるのですが、加工業の方が不足しています。例としては、おぼろ昆布、とろろ昆布という昆布加工品については函館以外で作られています。原料を出荷していながら地元で加工できずに失われている付加価値は大変大きく、地元の豊富な原料を活かした製品化を考えた時に、加工依頼先が無いことが残念です。原料産地と加工地の一致が事業の持続性に通じますし地域の発展にも繋がると考えております。海藻は世界に誇るスーパーフードですから海外市場に挑戦する発想を持つ企業さんに進出していただきたいです。

函館地域に立地したことによりどんな効果がありましたか?

函館の産地イメージが良いことと、海藻機能性成分について函館地域の各研究機関の協力を得ることが出来たことから、
①製品の開発速度が大幅に向上した。
②顧客とのマッチング支援により顧客獲得に結びついた。
③北海道大学などとの共同研究が可能となった。
④原料への拘りなど産地の強みを活かすことで他社との差別化が出来た。
⑤函館のイメージが良くお客様が函館に出向いて頂ける機会が増えました。漁の現場など実物を見て頂くことで充実した商談が出来ている。
などの大きな効果がありました。

社員の反応はいかがでしたか?

当初は新たな領域へゼロからの挑戦ということで不安もあったが、函館市や地域の皆さんからの支援を頂いたことで、社長をはじめとする経営陣の理解を得られ、現在は事業拡大に向け期待も大きくなっております。

今後の展望について、お聞かせください。

日本人にとって身近な海藻は、海外ではほとんど利用されておらず、近年新しい素材として注目を集めていますので国内市場を足がかりとして海外市場への進出も計画しており、将来的には世界中で海藻が身近な素材となるよう取り組みます。
事実、増粘剤といった科学物質を脱ケミカルという事でガゴメの成分に置き換えられないかといった問い合わせも増えていますが、まだまだ漁業には家内制手工業的な課題が多く、もっと大きなビジネスにする為には、原料の増産への取り組みが必要だと考えています。

今後について、課題となっている部分をお聞かせください。

函館地域に限らず北海道全体に物流の日数とコストが大きな負担となります。今後、取引が大きくなった場合、国内外への物流ルートの新規開発が必要だと感じています。また近年は、原料となる海藻資源の不作が続いております。さらに漁業従事者も高齢化などの理由で減少しており、これまで以上に資源確保が難しくなると予想されます。事業拡大には原料確保が不可欠であり、資源の回復や漁業従事者の確保に向けた効率化など、地域の関係各機関で協力した取り組みが必要ではないかと思われます。
当社としても、これまでのご支援に応えるべく、日々研究開発に取り組み新しい価値を創造するべく努力を重ねて参ります。

※2020/2/18取材

ご紹介企業基本情報

社名
宏輝株式会社 函館事業所
所在地
[本社] 〒102-0075 東京都千代田区三番町2番地 KSビル1F
☎︎03-3263-2081 FAX:03-3263-3441
[函館事業所] 〒040-0052 北海道函館市大町13-1 函館市臨海研究所2F
☎︎090-8742-5084
e-mail
umetsu@cokey.co.jp
URL
http://www.cokey.co.jp/

会社概要

代表者名
代表取締役社長 吉田直正
設立年月日
1953年
従業員数
70人(うち函館事業所 5人)
資本金
1000万円

主要製品・サービス

  • 甘草由来医薬品原料の製造販売、および医薬品以外の甘草関連製品の販売
  • 医薬品原料の輸入販売および医薬品の輸出
  • 化粧品原料の販売

主要取引先

大手製薬メーカー各社
大手化粧品メーカー各社

関連会社

宏輝システムズ