[お話いただきました]
代表取締役社長
丸山 浩平 様
自社の強み(特徴的な技術や製品)についてお聞かせください。
当社はイカの乾燥機メーカーとして創業しております。その後、函館近郊の魚種であるイカ・サケ・ホタテの3魚種を得意分野とし国内外に製品を出荷しております。全国に我々同様の魚の加工機械メーカーが多数ございますが、各メーカーともに近海の魚種に特化した技術を持つ企業となっております。
肉類の食べ方が全国共通であるのに対し、魚に関しましては地域による魚種の違いや、食文化に違いが顕著で、地場に必要な加工技術に特化していることが強みになっていると思います。
当社はセットメーカーとしてオリジナル製品を作っており、独自の規格で製品・サービスを作っておりまして設計に関する人材も他社に比べ割と多く在籍しています。当社企画製品が7割程度、3割程度はオーダーメイド製品の作成となっておりまして、開発段階からお客様とともに行うことで痒いところに手が届くような機械作りをしております。
当社としては本当であればパッケージ商品が売れると量産も可能になり助かるのですが、現在は漁業関係に関しては不漁が続く中で、お客さんも独自の商品を作っていかないと売れないという時代です。パッケージ商品でできる加工の一歩先をゆく商品づくりを目指すお客様が多く、一品一様の開発製品へのニーズは高いです。
同業他社さんの中で完全オーダーメイドに対応いただけるメーカー様は少ないように思います。オーダーメイドは薄利多売になりやすく、リスクも高まります。当社はパッケージ製品とオーダーメイド品の両方を扱っています。
最近のイカの不漁を受けて魚種変換を模索するお客様のございますが、立ち上げ段階からご相談いただく機会も多いです。例えばイカの乾燥ひとつにとっても、従来の方法と全く別の製品加工技術に習った加工品を作るための機械は製造できないかといった要望もございまして刺激を受けています。
設計陣が強みであるとお答えいただきましたが現場の多様性に合わせて鍛えられたという感じでしょうか
昔は、そうだったようですね。現場ではマンガ絵と呼ばれる手書き図面を元に製造していた時代もあり、多少の変更も現場の職人さんが調整して仕上げていくといった状況です。そうした現場では設計も製造も行き来が発生するんですが、現在は設計自体も高度化しており、かなり緻密な造形をしますので専門化が進んでいます。
ただ、現場での問題点や気付きについては吸い上げて設計に反映されています。
函館地域にもっと増えてほしい業種・業態の企業はございますか
当社としては機械加工を行う業者様ですね。旋盤ですとかフライス削りなどいわゆるマシニングセンタと呼ばれる業者さんに増えて欲しいです。現在は自社での加工が6割、市内の業者様で4割程度の作業を行なっておりますが、市内の業者様での廃業も目立ってきていて仕事が集中している状況です。社内での機械場の人数が少ないので外部への依頼ができないと間に合わないのが実情です。
また食品加工業社様が増えていただければ直接のお客様になりますので嬉しいです。
函館で事業をしているメリット・デメリットを教えていただけますか
メリットとしては、飛行機、列車(新幹線)、船と言った様々な移送手段を有している点。
新幹線の開通により東北圏内の出張に関しての機動力が上がりました。以前はフェリーでの移動がメインでしたが営業スタッフは日帰り圏内になっています。
デメリットは、設計に関する人材確保が困難な点です。当社の求人ですと工業系人材なのですが、特に新卒者の流出が激しく街や企業の落ち込みにつながっていて益々人材確保が困難になっています。中途採用といっても機械設計についての経験者というのは元々が少ないので期待もできない状況です。
5年程前から社内の高齢化への不安から中途採用人材を探しましたが全く成果が出ない事から、新卒採用に切り替え現在、教育しながら若返りを目指している段階です。今年も高校からの新卒で一人決まっております。
函館地域の支援機関からのサポートに満足していますか
実は当社ではこれまで市町村からの支援を受けた経験がなくどんな支援が有るのか詳しくありません。中小機構様からの販路開拓や、世代交代に向けたキャリアアップの支援は受けています。経産局からのモノ作り補助金を受けた経緯がございます。
IoTやロボット化というのは当社の守備範囲ではありますが、そうした面での補助を受けたものではありません。
今後の展望について、お聞かせください。
当社は53年の実績がございますが、水産関連の知名度はありまして海外へも出荷しております。
農産関係で言いますと20年程度行ってはいますが道内に留まっておりましたので知名度が低かったのですが最近少しずつ引き合いも増えてきておりまして今後さらに伸ばす方向で取り組む予定です。
ただ水産関連と比べ農産関係の設備というのが大掛かりなプラントでの導入になります。ですから機会としては10年に一度といったタイミングになりますので地道に実績を積み上げるというアプローチしかない状況です。
また、従来の水産関係で磨いた加工機器の技術が、農産関係も既に市場は出来上がってはいますが、水産からの技術的アプローチになる為、衛生面での取り組みなど興味を持っていただいておりますが価格面でのハードルはありますが、開拓の余地は感じております。
海外への出荷についてもう少し詳しくお願いします
イカ製品については中国、台湾。鮭製品がアラスカ、カナダ、ロシアが多いです。ホタテが中国や一部ロシアといったところです。
当社の得意な魚種で同じ緯度で収獲がある地域となっています。南半球ですとチリなどで鮭の加工がありますので当社の製品が入っております。
ロシアやアラスカへは当社の人間が現地に行って何台かの機械を組み合わせたり、メンテナンスに行く場合もあります。
アラスカ方面は治安も良くインフラが整っているため日本で現地の移動手段の確保も可能なので当社のメカニックや営業が直接行っています。ロシア方面ですと言葉の問題やインフラ面の都合で難しく現地工場のメカニックマンを日本に呼んで研修を行って部品だけをこちらから送って保守していただいております。
50年ほど前からロシア方面との取引がありました。向こうから買い付けをする商社様からの仲介で始まったという経緯がございます。
今後について、課題となっている部分をお聞かせください。
人材の確保につきます。50名程度の企業ですから余剰人員は採れませんので、これまで40年に渡り中途採用メインでした。
現在、新卒採用を始めてからの若手メンバーは、まだまだ一軍ではありませんが、これから10年の間に十分な経験を積んで頂ければ現在の逆ピラミッドの年齢構成のバランスも取れ、技術の継承についても良いループとなることで新卒採用だけで回っていくと思います。
高齢のスタッフが一気に抜けた今が一番苦しい時期だと感じています。
※2020/2/18取材
ご紹介企業基本情報
- 社名
- 株式会社タイヨー製作所
- 所在地
- 〒041-1221 北海道北斗市清水川226-10
☎︎0138-77-1001 FAX:0138-77-1000 - e-mail
- home@taiyo-seisakusho.co.jp
- URL
- https://www.taiyo-seisakusho.co.jp
会社概要
- 代表者名
- 代表取締役 丸山 浩平
- 設立年月日
- 1967年4月1日
- 従業員数
- 52人(うち正社員及び役員 46人(うち函館事業所 43人))
- 資本金
- 2500万円
主要製品・サービス
- イカ加工機械
- サケ・イクラ加工機械
- ホタテ加工機械 等
主要取引先
全国の水産加工業者、農協 等