[お話いただきました]
函館R&Dセンター長
丹羽 厳一様
自社の強み(特徴的な技術や製品)についてお聞かせください。
当社は三友グループの一社です。大手ゴムメーカーに納品するゴムの射出成形機メーカーを母体として、グループ内には配電盤や制御基盤メーカー、大手飲料メーカーさんへ納品する食品機械メーカーなどがあり、さらにタイ、アメリカ、中国、メキシコには機器の生産拠点が在ります。こうしたグループ内で設計・開発業務を行う技術者集団ですが、設計から機械製造までグループの協力関係を持っておりますので、非常に高いレベルで様々なものに対応可能なところを強みとしています。
事業内容としては、一つに「技術者の派遣」です。これは三菱重工さん関連のロケットや航空機をメインに戦闘機、ヘリ、戦車などの設計を行っておりますが、こうした特殊な分野は外への持ち出しができませんので、お客様の事業所内で一緒に設計します。現在180名ほどの社員がおりますが、社員の8割程度がお客様先に常駐して作業しており、当社の大きな柱となる業務となっております。
二つ目が、「営業・設計開発・製造を行う請負事業」です。ここでも航空機、ミサイル関係の試験装置ですとか、人工衛星の地上用試験装置を設計しております。
航空宇宙産業の特徴として、品質要求が非常に高いため、社員全員が常に、最先端の技術に対応できる能力の向上とスキルアップを心がけ、新しい技術を共有して生産性の向上を図っているため、海外の企業にも負けない高い技術力を身につけております。
他には、自社製品開発事業、教育ビジネス事業など、技術力を柱とした様々な事業を進めております。
自社製品開発についても教えていただけますか
現在、製品開発の第一号として「BAT.MAN」を作り Amazonで直販しています。
これは、キャンピングカーやボートのバッテリーに取り付けて、離れた場所からスマートフォンでバッテリーの残量などのモニターができる製品で、従来製品と違いメーカーでの取付工事なしに、ユーザー自身で付けられるのがポイントです。
大手のメーカーが参入しないニッチな市場に向けたアプローチで、キャンピングカーの専門雑誌でも便利なグッズとして紹介いただきました。樹脂で固めた完全密閉型なので、防水・防滴・防塵仕様で水中のボートでも使用可能となっています。これは自社内で一から作っていますので、Made in Japanをうたっています。
第二号として現在取り組んでいるのが「ジュエルソン」という真空管アンプの開発です。これもレトロな真空管の柔らかい音にこだわるマニアの方に向けて、航空宇宙分野で利用するコネクターなど部品にも徹底してこだわった製品で、形状も宇宙船をイメージした特殊なデザインを採用しています。実売の価格はかなり高額になりそうですが、当社の技術力に対する信頼を裏切らない製品に仕上げ、後々は音響機器全般の開発につなげたいと考えています。
また、函館R&Dセンター設立を期に出来た製品として、函館パックがあります。これは当社の社長が、持ち帰り用の寿司折を鞄に入れて持つと潰れるので、いい方法は無いかと考えて発案したものです。箱を縦にするので「箱縦」函館で作るので「函館」パックと命名しました。こちらの商品は是非函館の企業さんに作ってもらいたいことから、函館市経済部さんに紹介していただいて、地元のパッケージ業者様に作ってもらっています。一枚の紙から組み立てられるよう、社長のアイデアを当社の女性社員が形にし、図面を作成しました。
社長は「やってみたい事が有ればやってみれば良い。やってダメならやめれば良い。」という考えであるため、当社の事業の振り幅も大きくなっています。現在、当社にはアイデア商品研究会というのがありまして、月一程度で商品開発が好きな社員が集まり報告会を行っています。「BAT.MAN」もそこで素となるアイデアが出て、キャンピングカーを所有していた前社長からの要望もあり、商品化できたものです。
函館地域へのご進出の決め手を教えてください。
当初から地方拠点を設ける構想はありまして、2年ほどかけて候補地を探していたところで、函館を知り、視察に訪れて3ヶ月後には進出が決定しました。迅速に決めた理由としては、インキュベータ施設といった当面の場所が用意されてる点と、函館市経済部さんから、企業間の連携を取り持ってくれるような細やかなサポートを受けることができた点です。
また、近くに高専など理系の高等教育機関があることに加え、設計会社が不足していることにより、多くの優秀な人材が、就職のために関東・関西へ出て行ってしまう、函館のような地域に進出することで、新卒求人ばかりでなく、将来、親が心配で地元に戻りたい時にスキルが活かせる会社としても機能できるのではと考えたことも、函館進出の決め手の1つです。
今後の展望についてお聞かせください
函館R&Dセンターでは実際に今年2名の入社が有りまして、これからも積極的に求人は進めるつもりでいます。将来的には30人規模の会社にしたいと考え、現在、新社屋建設用の土地を探しています。
また、隣接する工業技術センターの方々との立ち話の中にも製品化に繋がりそうな事案があったり、周囲には共同研究や製品開発といった連携のできる理系の高等教育機関もあることから、IoTやAIを取り入れた研究開発を行い、次なる自社製品の開発につなげたいと考えているところです。
※2020/2/18取材
ご紹介企業基本情報
- 社名
- サンテクノ株式会社
- 所在地
- [本社] 〒453-0011 愛知県名古屋市中村区千原町5-23 三友ビル
☎︎052-454-3281 FAX:052-454-3280
e-mail:info@suntechno-kk.co.jp
[函館R&Dセンター] 〒041-0801 北海道函館市桔梗町379-32 函館市産業支援センター内
☎︎0138-34-2567
e-mail:hakodateoffice@suntechno-kk.co.jp - URL
- http://www.sanyu-group.com/suntec/
会社概要
- 代表者名
- 代表取締役社長 細江 政司
- 設立年月日
- 1986年2月1日
- 従業員数
- 191人(うち,正社員179人(うち函館事業所 4人))
- 資本金
- 3000万円
主要製品・サービス
- 電気電子、機械、ソフトウェアの受託業務および設計支援(派遣)
- 自社製品 バッテリモニタ装置「BAT.MAN」、函館パック
- ミャンマー人財紹介
主要取引先
中菱エンジニアリング(株)、三菱重工業(株)、三菱航空機(株)、(株)中電CTI、三菱電機エンジニアリング(株)、SKY(株)、日本車輌製造(株)、(株)フジキカイ、他
関連会社
[サンテクノ・ミャンマー法人]
Suntechno Myanmar Co.,Ltd
[三友グループ各社]
三友工業株式会社、三友機器株式会社、三友エレクトリック株式会社ほか